北京オリンピックでカーリング女子が銀メダルを獲得し、コロナ感染拡大のさなかにある日本にとっては久しぶりに胸がすくような明るい話題となりました。
カーリングが注目されたのは、ゲームの戦略を練りながら観戦するのが面白いのはもちろん、それに加えてこのスポーツがこれからの時代に本質的にしっくりと合っているからではないでしょうか。
カーリングはセルフジャッジのスポーツで審判は必要な時にしか出てきません。中央集権的な審判ではなく、チームの個と個がつながってコミュニケーションを緊密にとりながら戦略立ててゲームを進めて行きます。
この話がなぜIRに関係あるかと言うと、企業もIR担当者も「個」として投資家と直接対話すれば良いと思ったからです。
上場企業は権威団体が取り決めたルールに従って一定の情報開示が求められます。
しかし画一的な評価基準に自社を当てはめるだけでは、本来の企業価値を明示することは難しいでしょう。一定のルールの他にも、もっと柔軟性のある評価基準が必要です。
具体的に言うと競合他社との定量的比較だけでなく、1つ1つの企業が「個」としてどんなSDGsの取組みを行い、それを昨年の自社と比較してここまで上手くできるようになった、という「進捗度」を市場に発信すれば良いのではないでしょうか。
投資家への情報開示の方法はより柔軟で、透明性の高い、開かれたものが望ましいと思います。
画像の図をご覧下さい。
この表はインターネットの歴史と特徴を示したものです。
Web1.0:1990年~2004年(読み取り専用ページの時代)
Web2.0:2005年~2021年(SNSとGAFAの時代)
Web3.0:2022年?~(ブロックチェーンの時代)
Web1.0から3.0の変遷を「社会、企業、個人」と読み替えてみると妙に符号しているように感じます。
Web2.0の時代、中央集権的な巨大企業が個人データを使って巨万の富を手に入れました。貧富の格差は開くばかりです。
今、時代はそこから進んで不正が起きないような、公平で透明性の高いプラットフォームのWeb3.0が確立されています。
これは投資家とのエンゲージメントのあり方と同じとは言えないでしょうか。
各企業、各IR担当者が「個」としてステークホルダーとどのようにつながり、社会課題をどのように解決していこうとしているのかを伝えることが、Web3.0時代のIRなのではないでしょうか。ここにこそ企業価値の源泉があるのではと思います。(大石)
ご参考
「人類哲学の研究」
出所:心理の研究@Ameba
中世は「教会」の時代でした。近現代は「国家」の時代でした。これからは「個人」の時代になるはずです。
新しき中世(ベルジャーエフ)。国家が相対的に存在感を失い、本当の意味でグローバルな、個人主体の時代になります。(抜粋)